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品種保護制度の比較と外国出願のポイント 日本・中国・韓国・米国

品種保護制度の比較と外国出願のポイント
日本・中国・韓国・米国

日本

年間出願件数(2021年)

約776件

管轄組織

農林水産省

保護期間

登録から25年(樹木等は30年)

出願言語

日本語

出願必要書類等

品種登録願、説明書、写真等

※該当する場合に必要な書類
特性表、委任状、譲渡証明書等、 優先権主張書類、輸出先国の制限に係る特例届出書、生産地域の制限に係る特例届出書、カルタヘナ法に基づく遺伝子組換え植物の承認等

未譲渡性(新規性)の期間

国内:1年
国外:4年 (樹木等は6年)

特性審査

栽培試験又は現地調査
※UPOV加盟国の審査結果報告書や、出願人が実施した調査報告書等による書面審査が可能と判断される場合あり

(参考)特許による保護の可否

新規性、進歩性等の特許要件を満たす限り、植物は特許でも保護され得る
※保護対象の例:植物体、育種方法、新品種育成に有用な DNA等

外国出願のポイント

・日本出願を優先権主張の基礎として外国出願を行う場合、日本出願から1年以内に外国出願を行うことに留意し、優先権主張書類を早めに準備
・優先権主張なしでも出願国の未譲渡性(新規性)等の要件を満たせば外国出願可

 

中国

年間出願件数(2021年)

約11,195件

管轄組織

草本植物:農業農村部
木本植物:国家林業草原局

保護期間

登録から15年(樹木等は20年)

出願言語

中国語

出願必要書類等

品種保護出願書、説明書、写真及び簡単な説明、遺伝図等

※該当する場合に必要な書類
委任状、優先権主張書類、GMO 品種安全評価証明書等

未譲渡性(新規性)の期間

国内:1年
国外:4年(樹木等は6年)

特性審査

栽培試験、現地調査又は書面審査

(参考)特許による保護の可否

植物の品種は特許で保護されない(専利法第25条)

外国出願のポイント

・農業農村部、国家林業草原局ともに2017年4月から庁費用が無料
・未譲渡性(新規性)の期間内に出願が必要
・現地調査で栽培委託が必要な場合は、栽培委託先の手配や栽培委託の費用が必要

 

韓国

年間出願件数(2021年)

約625件

管轄組織

農業植物:農林畜産食品部の国立種子院
林業植物:山林省の国立森林品種管理センター
水産植物:海洋水産部の国立水産化学院水産植物品種管理センター

保護期間

登録から20年(樹木等は25年)

出願言語

韓国語

出願必要書類等

品種保護出願書、育成過程、特性表、特性記述書、写真、種子試料(栄養繁殖植物の場合は試料提出確約書)等

※該当する場合に必要な書類
委任状、譲渡証明書、持ち分証明書、リスク性審査書(遺伝子組換品種)、優先権主張書類等

未譲渡性(新規性)の期間

国内:1年
国外:4年(樹木等は6年)

特性審査

栽培試験、現地調査又は委託試験
※外国の審査結果報告書に基づく書面審査は一般的に認められない

(参考)特許による保護の可否

新規性、進歩性等の特許要件を満たす限り、植物は特許でも保護され得る
※保護対象の例:植物の育種方法、増殖方法、形質転換植物、植物の一部分等

外国出願のポイント

・未譲渡性(新規性)の期間内に出願が必要
・現地調査で栽培委託が必要な場合は、栽培委託先の手配や栽培委託の費用が必要
・栄養繁殖植物:指定された期限までに試料を提出できない場合、出願手続が無効になることがある

 

米国

年間出願件数(2021年)

品種保護:約1,902件
植物特許:約964件

管轄組織

品種保護:農務省(USDA)
植物特許:特許商標庁(USPTO)

保護期間

品種保護:登録から20年(樹木等は25年)
植物特許:出願から20年

出願言語

英語

出願必要書類等

・品種保護:出願書、Exhibit A(品種の来歴及び育成経歴)、 Exhibit B(区別性の陳述)、Exhibit C(品種の客観的説明)、 Exhibit E(所有権の根拠の陳述)等
※該当する場合に必要な書類: Exhibit D(追加説明)、Exhibit F(寄託に関する宣言)、譲渡証明書、優先権主張書類等
※出願から3カ月以内に種子(塊茎植物の場合は組織培養植物)を国立遺伝資源保護研究所 (NLGRP)に送付要

・植物特許:出願データシート、明細書・請求の範囲、図面、宣言書、IDS(情報開示陳述書)等
※該当する場合に必要な書類:委任状、譲渡証明書、優先権主張書類等

未譲渡性(新規性)の期間

品種保護:国内1年
     国外4年(樹木等は6年)
植物特許:1年

特性審査

書面審査
※品種保護も植物特許も栽培試験は行われず、出願人が実施した栽培試験結果に基づく書面審査が行われる

(参考)特許による保護の可否

新規性、進歩性等の特許要件を満たす限り、植物は特許(一般特許)でも保護され得る
※保護対象の例:植物の育種方法、遺伝組み換え等による新品種等

外国出願のポイント

・品種保護、植物特許ともに年間登録料不要
・未譲渡性(新規性)の期間内に出願が必要
・植物特許:栄養繁殖植物のみ(塊茎植物除く)が保護対象
・品種保護:栄養繁殖植物、種子繁殖植物ともに保護対象

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