目次
1.はじめに
タイにて意匠権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載しております。
本ページが、お客様が海外で知財保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立てください。
2.タイにおける意匠権
意匠とは?
タイの特許法上、意匠とは、物の形状又は模様若しくは物品の色で、工芸品を含む工業製品として使用可能な、物品として特別な特徴を有するものをいいます(特許法第3条)。
意匠の登録要件とは?
意匠登録出願できる意匠は (特許法第56条)
(1)新規の意匠であること
以下の意匠は新規性がないと判断されます。 (第57条)
① 意匠登録出願日(優先日)前に王国内にすでに存在する、または普及使用されている意匠。
② 意匠登録出願(優先日)前に王国内外で流布している書類または出版物に、その形状、主要部分、詳細が公開された意匠。
③ 意匠登録出願前に第28条の規定が準用された第65条に基づき公開されている意匠。
④ 模倣と判断できるような ①、②、③に該当する意匠と類似した意匠
(2)工芸を含めた産業上の利用が可能な意匠であること
意匠権を受けることはできない意匠とは(第58条)
(1)公序良俗を害する意匠。
(2)勅令で規定した意匠
出願に必要な書類
- 願書
- 意匠の写真又は図面
- 意匠の説明書
義務ではありません。図面では記述できない内容、例えば、材質、使用目的、性質等をタイ語100文字以内で記入します。 - 意匠請求の範囲(1項のみ:一意匠一出願)
2以上のクレームは認められません。 - 委任状
代理人により出願手続きをする場合には、公証を受けた委任状が必要です。 - 譲渡証
出願人が創作者でない場合に必要になります。 - 優先権証明書
一意匠一出願
タイでは、一意匠一出願のみ認められております。
部分意匠、関連意匠、秘密意匠、組物の意匠
法上、これらの制度はありません。
出願後の流れ
- 方式審査
出願後、方式審査がなされます。タイの方式審査では、方式的要件に加え、登録できない意匠の事由に該当するか否かについても判断されます。 - 出願公開方式要件を充たし、かつ登録可能と判断される場合には、出願公開が命じられます。
- 異議申立
利害関係人は、出願公開日から90日以内に異議申立てすることができる。 - 審査請求制度審査請求制度はなく、異議申立がなかった場合又は異議申立が認められなかった場合に実体審査がなされます。
- 実体審査
新規性、創作性に関して行われます。
意匠の保護期間(第62条)
意匠権の存続期間は王国内で出願した日から10年間とします。
3. 条約
主な条約への加盟状況は以下の通り。
パリ条約 | WTO協定 | ハーグ協定 | ロカルノ協定 |
加盟 | 加盟 | 未加盟 | 未加盟 |