目次
はじめに
スマート農業とは農業と先端技術を組み合わせ、農業の能率化・省力化を図ろうとするものであり、これには①手作業のロボット化・自動化といった単なる労働の代替という面と、②膨大なデータを収集・分析することで農業経営者の意思決定を支援するという面があります。
以下にも述べますように、日本においてスマート農業の導入は必要不可欠であり、今後当業界に参入する方も増えると予想されます。
そこで当ページにおいて、スマート農業業界の方々に対して商標登録をする上で役立つ情報を提供できればと考えております。当ページが皆様の業務遂行においてその一助となれば幸いでございます。
進展状況と展望
スマート農業の進展具合を示す指標として第一次産業を目的とするビジネス関連発明の公報発行数の増加があります。特許庁のデータによれば、2019年は124件で、2009年の44件から徐々に増加している状況にあります。そして今後この上昇率はより大きなものとなることが予想されます。翻って、日本の農業就業人口は2019年現在で168万人と2010年の260万人から大幅に減少しており、またその年齢構成についてもおよそ70%が65歳以上となっており、若者の担い手不足・高齢化の進行が深刻な問題となっています。
それゆえ今後日本が食料自給率を維持するためには農業の能率化・省力化が必定であり、スマート農業業界は成長が見込める産業といえます。日本政府としてもスマート農業の推進を成長戦略に掲げている(令和元年6月21日閣議決定)ことから、今後当業界に関わっていく方々にとってはチャンスといえるかもしれません。
スマート農業の例(実用化に至っていないものを含む)
〇 ドローン、衛星等を利用したセンシング
〇 無人ヘリによる施肥
〇 センサ付きコンバイン
〇 自動走行トラクター及び自動走行システム
〇 農業用アシストスーツ
〇 無人草刈りロボット
〇 AI、ビッグデータの利用
(1) 作物の葉茎、果実等の画像を基に病害虫リスクを分析し、生産者にその被害予測を通知すると同時にその対処法などを提案する
(2) 果実の画像からその摘果時期を判断し自働で収穫する
商標(法)との関連
スマート農業は農業に先端技術を取り入れたものなので、商標に関して言えば当該先端技術分野を指定商品・役務とするものが主と考えられます。すなわち、収穫物等ではなく、IoT技術分野等が主に指定商品役務として検討されることになると考えられます。
とはいえ、スマート農業特有のシステムの下収穫等された商品が特別な意味合いを持つ場合等には指定することもあり得るでしょう。したがって、これまで主に技術開発に注力してきた方々も、その後の事業展開やブランドの確立を加味して目を配る必要性が十分考えられます。また、共同で技術開発を行う農業従事者の方々については、スマート農業の導入で従来より幅広い視点からの検討が必要になると考えられます。
スマート農業業界の指定商品・役務について
商標が用いられる可能性のある代表的な商品・役務
- 第7類:栽培機械器具、収穫機械器具、など
- 第9類:電子計算機用プログラム、電気通信機械器具、など
- 第29類:乳製品、卵、など
- 第30類:茶、コーヒー豆、米、など
- 第31類:野菜、果実、飼料、など
- 第42類:電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機用プログラムの提供、など
- 第45類:オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供、など
“HARAKENZO more”はスマート農業業界の皆様を応援します。
スマート農業はまだまだ黎明期であり、上述のように当業界は今後の発展が大きく見込めるものと考えられます。
“HARAKENZO more”としてもスマート農業業界の皆様の知的財産保護にお役立ちしたいと考えておりますので、まずは、お気軽にご相談いただければ幸いです。