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ペルーの基本情報
面積 | 1,285,220平方キロメートル |
人口 | 3340万人(2022年) |
首都 | リマ |
民族 | インディヘナ(先住民)45%,メスチーソ37%,ヨーロッパ系15%,その他3% |
公用語 | スペイン語,ケチュア語,アイマラ語 |
通貨 | ヌエボ・ソル(PEN) |
ペルーの知的財産権法の概要
加盟している産業財産権関連の主な条約等
・パリ条約(Paris Convention)
・特許協力条約(PCT)
・世界貿易機関設立協定(WTO)
・アンデス国家共同体加盟国(コロンビア、ペルー、ボリビアとエクアドル)カルナタ協定決定書第486号
特許制度
出願ルート
PCT、パリルートでの出願が可能。
出願言語
スペイン語
出願に必要な書類
・発明の要約
・発明の明細書
・クレーム
・必要な図面
特許をすることができない発明
次に挙げる発明は特許をすることができない
①発明が、発見や科学的な理論、算術的方法の場合
②発明が、文学や美術的な作品の場合
③発明が、精神的な活動の場合
④発明が、コンピュータプログラムの場合
⑤発明が、情報の提示の場合
出願公開
出願日又は優先日から18ヶ月経過後、出願公開される。
出願公開後に、仮保護の権利が発生する。
特許付与前の異議申立
出願公開後60日以内に、利害関係人は異議申立てをすることができる。
この異議申立てに対して、出願人は指定期間内に意見書や補正書を提出することができる。
審査
出願は、方式的要件を満たしているか否かの予備審査が行われる。指定期間内方式指令に対して応答しない場合、又は応答した場合においても依然として瑕疵が解消されない場合には、出願は放棄されたものとみなされる。この応答期間は、出願人からの請求により一度限り、2ヵ月の延長が可能である。
出願は、出願公開後60日以内に出願人が実体審査を請求することにで、特許付与前の異議申立て期間満了後、実体審査が行なわれる。
審査対象の出願について外国ですでに特許を出願している場合には、外国特許庁で既に行った調査及び審査の結果を提出しなければならない。
出願人は、審査報告書の通知から60日以内(30日間の期間延長が可能)に審査報告書に対して応答することができる。
日本国特許庁とペルー公正競争・知的財産保護庁は、特許審査ハイウェイの試行プログラムを2017年11月1日より実施している。
出願変更
特許出願が係属中、出願人は特許出願を実用新案登録出願に変更することができる。
出願分割
出願が係属中、出願人は出願当初に記載された範囲内で、分割出願をすることができる。
不服申立て
特許庁の決定に対して不服を有する者は、特許庁の行政裁判所知的財産権部に対し不服を申立てることができる。
特許権の存続期間
出願日から20年である。
実用新案制度
出願ルート
PCT、パリルートでの出願が可能。
出願言語
スペイン語
保護対象
機械、装置や工具等や物品若しくはその部分の形状や形態が保護対象となる。
出願に必要な書類
・考案の要約
・考案の明細書
・クレームを記載した紙面
・考案の図面(図面の提出が必須である。)
出願から登録まで
審査の進め方は特許出願と同様である。
不特許事由
②実用新案の定義に該当しない物
③建築物、立体物や純粋な美術品
実用新案権の存続期間
出願日から10年である。
意匠制度
出願ルート
パリルートでの出願が可能。 ※ハーグ協定のジュネーブ改正協定未加盟
出願言語
スペイン語
保護対象
「線の配置、色の組み合せ、または平面もしくは立体の外形、線、輪郭、形状、質感または素材に由来する製品の特定の外観の新規な工業意匠」 (カルナタ協定決定書 第486号第113条第115条)
出願に必要な書類
・請願書
・図または写真。平面の場合は、その意匠を組み込んだ製品のサンプルに置き換え可(同書 第117条)
出願公開
出願公開制度はない。ただし、出願は方式について予備審査が行なわれ、要件を満たしていれば公報により公告(公開)される。
異議申立制度
公告日から30日以内に、何人も、異議申立を行うことができる。
審査
審査請求制度なし。
優先審査制度、早期審査制度なし。
異議申立期間経過後、または異議が提起されなかった場合実体審査を実施。
不登録事由
②公序良俗違反
③外観が技術的又は機能的な面のみを要素とする工業意匠
④意匠を組み込んだ製品が、その製品が一部となる別製品との組立または接続を可能とするために必要な構成の工業意匠(同書 第116条)
無効審判制度
無効審判制度があり、何人も、無効を特許庁に申し立てることができる。
意匠権の存続期間
出願日から10年である。
意匠法特有な制度
部分意匠制度、組物の意匠制度、関連意匠制度、秘密意匠制度は採用されていない。
商標制度
出願ルート
パリルートでの出願が可能。 ※マドプロ未加盟
出願言語
スペイン語
商標の種類
文字商標、図形商標、記号商標、立体商標、結合商標、色彩商標。
※防護標章制度はありません
※一出願多区分制度を採用
保護対象
商品、役務、証明商標、団体商標、広告スローガン、原産地名称表示、商号。
商標分類
国際分類(ニース分類/第10版)を採用。 ※ニース協定には未加盟
出願に必要な書類
・願書
・商標見本
出願公開
出願は方式について予備審査が行われ、要件を満たしていれば公告される。
異議申立制度
公告日から30日以内に、利害関係人は異議申立を行うことができる。
審査
実体審査が行われる。
不登録事由
①十分に識別性がない又は視覚的に表示できない標識
②商品若しくはその包装の通常の形状,又は対象となる商品若しくはサービスの特別な機能に由来する形状又は特徴からなる標識
③使用されている商品若しくはサービスに機能的又は技術的利点を与える形状からなる標識
④使用されている商品若しくはサービスの種類,質,量,目的,価額,原産地,生産時期又は他の詳細,特徴若しくは情報を指定若しくは説明するために供される標識又は表示のみからなる標識
⑤日常言語又はその国の使用状況において,関連する商品若しくはサービスを一般的又は通常に示すものとなった標識又は表示のみからなる標識
⑥特定の形状を表現する区分がない,個別の色彩からなる標識
⑦公序良俗に反する標識
⑧標章又は標章の構成要素として,襟章,旗章,紋章若しくは公式標識及び国家が採用する管理又は保証を示す標識として,管轄当局の承諾を得ずに複製又は模倣した標識,並びに,紋章学的観点から見てその模倣である標識,更に,国際機関の襟章,旗章,他の紋章,名称並びに略称
⑨技術的な規格に適合することを表示する標識。
⑩アンデス共同体加盟国又は外国で保護されている植物品種の名称を,複製若しくは模倣した又はそれらを含む標識であって,標識が当該品種に関する商品若しくはサービスに使用される意向である場合,又はその使用によって当該品種と混同又はそれを連想するおそれがある場合
⑪保護されているワイン若しくは蒸留酒の原産地表示を含む標識
⑫適用される商品若しくはサービスに関して混同が生じるおそれがある、国内又は外国の地理的表示で構成される標識
無効審判制度
無効審判制度があり、利害関係人は、無効を特許庁に申立てることができる。
不使用取消制度の有無
不使用取消制度があり、アンデス共同体加盟国(ボリビア、コロンビア、エクアドル又はペルー)のいずれの国においても継続して3年以上の不使用は、不使用取消の対象となる。
指定商品・役務の部分取消が可能。
商標権の存続期間
登録日から10年である(10年毎に更新可能)。
品種登録制度
UPOV条約(植物の新品種の保護に関する国際条約)の加盟国であり、品種登録制度による新品種の保護が可能である。UPOV条約は、植物の新品種を各国が共通の基本的原則に従って保護することを目的として締結された条約であり、新品種の保護条件、最低限の保護期間、内国民の優遇などの基本原則が定められている。
ペルー知的財産権法
弁理士 スペシャリスト 髭 善彰