ミャンマー

概要

(1)首都 ネーピードー
(2)人口 5,148万人(2015年5月)
(3)面積 68万平方キロメートル(日本の約1.8倍)
(4)言語 ミャンマー語

 

 

 

知的財産保護に関する法整備

ミャンマーでは、知的財産権保護の法整備が十分ではなかった。日本政府の支援もあり、2019年1月30日には商標法と意匠法、同年3月11日には特許法が成立し、さらに同年5月24日には約100年ぶりに著作権法の改正も実現した。

新型コロナウイルスの感染拡大や政治情勢の変化もあり、上記法律の施行は大幅に遅れていたが、2023年4月1日より、商標法の施行がスタートした。今後、他の意匠法、特許法、新著作権法の施行がスタートするものと思われるが、2023年10月時点では明確にはなっていない。

 

 

 

商標法

2020年10月1日から、ソフトオープニング期間と呼ばれる優先措置期間がスタートしていた。これは旧法下での登記法に基づく登録商標(所有権宣言書を登記し、これを日刊紙に掲載することで自らが商標権者であることを世間に知らしめるもの)につき優先的に出願を認めるというもので、旧法下で登録を受けた者も一様に改めての出願が必要とすることは不公平であるという観点に基づくものである。このソフトオープニング期間は2023年3月31日で終了し、適式に手続きを終えた出願は一律4月26日を登録日とするものと定められた。

この2023年4月26日がグランドオープニングの日とされ、同日から6ケ月の間は、移行期間として、旧法下での登記法に基づく登録商標を基礎とした出願は認められるとのことである(ただし、出願日は先の優先措置が認められる出願群より後日とされる見通しとのことである)。

主な内容

  • 存続期間:10年
  • 審査は基本的には形式審査がメイン
    > ⇒先行類似商標については審査しない(あるいは簡易的なチェックのみ)
  • 出願公報が発行され、発行後60日以内に第三者から異議申立があった場合、これを受けて実体審査を開始
    ⇒異議申立に理由がないと判断されれば、登録となる
  • 出願公報発行後、60日以内に異議申立がない場合も、登録となる
  • 登録後の、無効審判制度あり
  • 登録を認めない決定に対する不服申立の制度あり

 

 

 

意匠法

 工業意匠法は2023年10月31日から施行されていたが、2024年2月1日より出願受付が開始されたとのことである。

主な内容

  • 優先権主張:パリ優先権の主張が可能(39条)
  • 存続期間:出願日から5年間、5年毎に最大2回まで更新が可能(42条)
  • 公告延期:出願日または優先日から18か月までの公告延期が申請可能(36条)
    ⇒日本でいう秘密意匠に相当する制度と考えられる
  • 複数意匠出願:複数意匠がロカルノ分類の同一クラスに属するものであれば、一つの出願に複数の意匠を含めることが可能(21条)
    ⇒日本でいう組物の意匠に相当する制度と考えられる
  • 出願後、方式審査を経て、公告される。公告から60日以内であれば新規性欠如などを理由に異議申立が可能。異議申立が無ければ登録される(28-33条)

 

 

 

特許法

特許法は2024年5月31日に施行されていたが、このほど2024年10月31日から出願の受理が開始されたとのことである。
これまでは、付与済みの外国特許に基づき、特許所有権宣言書という書類を提出することで特許出願が受理されていた。この方法で既に登録済の件については、新法に基づいて再登録することはできないとされており、商標法とは異なった運用となっている。

 

 

弁理士 アドバイザー  五位野 修一


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