知的財産権を取得した後、取得した権利の見直しや取捨選択は行っていますか?
知的財産の「棚卸」、つまり、保有する知的財産について、必要性を評価し、維持するか放棄するかを判断することは、戦略的に知財を活用するためには欠かせません。
目次
知的財産の棚卸の必要性
特許権は出願日から20年、意匠権は出願日から25年もの長期に渡って存続し、商標権については10年ごとに更新登録の申請をすることによって、永久に権利を維持することが可能です。
ただし、知的財産権の権利維持には、維持年金や更新料の支払いが必要です。特許庁に支払う印紙代の他、特許事務所等に手続を依頼していればその手数料、海外での権利であれば現地代理人や管理会社の費用など、様々な費用が発生します。 自社の知的財産を守るための必要な経費とはいえ、何十件分・何十年分と積み重なると、それは莫大なコストとなります。
取得した権利は長く有効に活用したいものですが、時勢の変化や事業計画の変更によって、不要な権利となっている場合があります。 そのような権利に漫然と維持費用をかけ続けることは、企業にとってマイナスです。
一方、多数の権利を整理せずに維持し続けていることで、思わぬところに権利の「穴」ができてしまっていることがあります。 あるいは、現状の取得権利を精査することによって、自社の強みと弱みや、今後の知財戦略・事業戦略の方向性を見極めることもできるでしょう。
取得した知財の権利を整理し、適切に取捨選択を行うことで、単なるコストカットにとどまらず、企業価値を高めるための知財戦略を立てることができるのです。
知的財産の棚卸の方法
特許・実用新案の棚卸
まずは、自社で保有している特許の価値を評価することが何よりも重要です。
特許を評価する際には、事業面・技術面・法律面等について基準を設けて、現在および未来において自社の事業に貢献するかを客観的に判断する必要があります。
意匠の棚卸
意匠については、権利の必要性・重要性を評価する際に、部分意匠制度・関連意匠制度を活用した広い権利範囲を有する権利網を築けているか、また、その権利網に過不足がないか、を確認することがポイントです。
2019年に意匠法が改正され、関連意匠として出願できる期間が基礎出願日から10年以内に拡大されました。また、基礎意匠に類似しない意匠も、関連意匠に類似していれば登録されるようになりました。 これらの改正で、マイナーチェンジしたデザインが、自社の意匠権を強化できる可能性が高まっています。
商標の棚卸
商標の場合、商標権の要否を判断することに加え、複数の権利を再出願して1本化することも、棚卸における検討事項の1つです。
事業展開に応じて少しずつ区分や指定商品・役務を増やしていたものを1本化することで、期限管理の手間を削減したり、庁費用・代理人費用を抑えたりできる可能性があります。 外国における権利についても、各国個別に出願・登録していたものをマドプロ出願・登録にまとめることで、大幅なコストカットが期待できます。
特許事務所での知的財産棚卸サポート
高度経済成長期やバブル期の、企業も市場も成長拡大を続けるものと思われていた頃には、知的財産はとにかくたくさん権利化して確保するべきもので、自ら手放すなど考えられなかったかもしれません。 しかし現在では、そのような時代は過去のものとなり、どの企業もコストパフォーマンスを意識し、企業の知財部・知財担当者にはより厳選された知財の権利化・権利維持が求められています。
知的財産の棚卸作業は、企業内の知財部・知財担当者によって行われてきたものと思います。 しかし、めざましい技術の進歩とともに人々のニーズが多様化した現代では、これまでは無関係と思われていた産業分野からの新規参入や、SDGsやESGといった社会的な要求等、考慮すべき事象が高度化・複雑化しています。また、人口減少による人手不足によって、高度な目標をより少ない人員・少ない時間でこなさなければならないようになりました。
当所では、大規模・国際・総合知的財産事務所として、知的財産の棚卸作業をサポートし、あなたの会社の企業価値を高めるお手伝いをいたします。
- 知的財産の評価基準の策定
- 評価基準に基づく価値評価、評価のための情報収集
- 取得済知的財産権の整理・マップ化
- 今後の権利化計画・戦略の提案
その他にも、お客様のご希望に合わせて、あらゆる段階・あらゆる側面におけるコンサルティングが可能です。
知的財産の棚卸についてお悩みや不明点をお持ちの方は、ぜひ当特許事務所にご相談ください。