国内意匠制度

意匠登録までの流れ

意匠登録までの流れ

意匠登録を行い、意匠権を取得するためには、特許庁へ意匠登録出願をする必要があります。
意匠登録までの流れについて解説します。

先行意匠調査

意匠登録出願前に先行意匠調査は必須ではありません。
しかしながら、既に同一又は類似の意匠が公開されている場合には、出願しても意匠登録を受けることができません。
また、他人の登録意匠と同一又類似の意匠を無断で実施してしまった場合には、意匠権を侵害することになりかねません。
このような事態を避けるためにも意匠登録出願前・意匠の実施前には調査を行うことが大切です。

先行意匠調査は、「特許情報プラットフォーム」(無料)のウェブサイトを利用して自分で先行意匠を検索して調査することもできますが、検索方法を誤ってしまうこともあり得ます。また、先行意匠との類否判断が難しいこともあります。そこで、調査費用がかかりますが、意匠専門弁理士に依頼することをお勧めします。
なお、意匠調査の料金は、調査の種類や調査対象となる製品分野等により異なりますので、個別にお問い合わせください。もちろん、見積りは無料です。

【参考】意匠を検索するために必要な情報
下記に意匠を検索するために必要な情報をまとめていますのでご参考ください。

・『意匠を検索するために必要な情報について解説します

 

出願期限

まず原則として、意匠登録を受けるには、下記点に留意する必要があります。

①世に出ていない新しいデザインであることが求められるため、公開する前に出願する必要がある。
②先願主義であるため、他者に先を越されずできるだけ早く出願すべきである。

①について、新しいデザインを公開すると、直ちに意匠登録できなくなるわけでなく、下記のように例外規定が設けられています。

新規性喪失の例外規定(意匠法第4条)

出願期限:最初の公開から1年
出願前に意匠を公開した場合は、最初の公開日から1年以内に意匠登録出願を行う必要があります。その際、出願時に「新規性喪失の例外規定」の適用を受ける手続が必要です。
最初の公開日から1年経過後に出願した場合は、自ら創作した意匠であっても、原則として意匠登録が認められないのでご留意ください。
また、最初の公開日から1年以内であったも、発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことによる公開の場合は、新規性喪失の例外規定を受けることはできないのでご留意ください。

また、外国で最初の出願を行った場合は、下記のように優先権を主張して日本で意匠登録出願を行うことで、最初の出願日から日本出願日までの間に新しいデザインを公開した場合や他者の出願があった場合でも、それらを理由としては日本出願が拒絶されません。

優先権主張

出願期限:最初の出願から6月
外国で最初の出願を行い、その最初の出願日より6月以内に日本で意匠登録出願を行う場合、最初の出願の優先権を主張して、日本で意匠登録出願を行うことが可能です。
優先権主張を行った場合、最初の出願日から日本出願日までの間に行われた行為、例えば,他の出願,意匠の公表又は実施等を理由として、当該日本出願が拒絶されることはありません(パリ条約第4条B)。

ですので、まずは上記①②の点にご留意頂き、その上で、上記新規性喪失の例外規定又は優先権主張に該当する場合は、それらの出願期限に留意いただければと思います。

 

出願から登録までの流れ

(1)出願

願書及び図面等を特許庁に提出します。

願書に記載する事項の例(詳細は様式を確認要)
・出願人、創作者の情報
・物品の名称
・意匠の説明、物品の説明(必要な場合)
・関連意匠の場合は本意匠の表示
など。

願書及び図面は、意匠登録する上で非常に重要です。余計な補正指令や拒絶理由通知を受けない為にも、意匠専門弁理士に依頼することをお勧めします。

(2)方式審査

特許庁に提出した出願書類について形式上の要件を満たしているか審査されます。

要件を満たしていない場合、補正指令を受けたり、出願が却下されることもあります。

(3)実体審査

実体上の登録要件(新規性・創作非容易性等)を満たしているか審査されます。
要件を満たしていない場合、拒絶理由通知書が送付されます。
例えば、「意匠が具体的ではないと判断された場合、同一・類似する先行意匠が見つかった場合、世の中に知られた意匠に基づいて簡単に意匠を創作できたと判断された場合」などの登録要件を満たさなければ拒絶理由となります。

要件を満たしている場合、登録査定が送付されます。

(4)拒絶理由通知書

審査官が拒絶の理由を発見した場合には、拒絶理由通知書が送付されます。

(5)意見書・補正書提出

拒絶理由通知に対し、意見書や手続補正書を提出することで拒絶理由を解消できることがあります。

【参考】拒絶理由例とその対応例
拒絶理由例:先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない(意匠法第3条第1項第3号)
対応例:意見書を提出し、先行の公知意匠と類似しない旨を主張し、反論する

※意見書・補正書提出に係る庁費用は無料です。弁理士に依頼すると一般的に費用がかかります。

(6)登録査定

審査官が拒絶の理由を発見しない場合には、登録査定が送付されます。また、意見書や補正書によって拒絶理由が解消した場合にも登録査定となります。
登録査定を受け取っただけでは意匠登録にならず、登録料を納付する必要があります。

【参考】出願から最初の審査結果通知(主に拒絶理由通知又は登録査定)が出るまでの平均期間(ファーストアクション期間)
約6~7か月  ※2021年時点

(7)拒絶査定

拒絶理由通知に応答しない場合、又は意見書や補正書を提出したが拒絶理由が解消されなかった場合は、拒絶査定が送付されます。

(8)拒絶査定不服審判

拒絶査定に対して不服がある場合、拒絶査定の送達日から3月以内に拒絶査定不服審判の請求を行うことができます。
拒絶査定不服審判を請求しない場合、拒絶査定が確定し、意匠登録されません。

(9)登録審決

拒絶査定不服審判において拒絶理由が解消されたと判断された場合には、登録審決が送付されます。

(10)拒絶審決

拒絶査定不服審判においても拒絶理由が未だ解消されていないと判断された場合には、拒絶審決が送付されます。

(11)知的財産高等裁判(拒絶審決に対する訴え)

拒絶査定不服審判の拒絶審決に対して不服がある場合、知的財産高等裁判所に拒絶審決に対する訴えを提起することができます。

(12)登録料納付

登録料は登録査定又は登録審決の送達日から30日以内に納付しなければなりません。
登録料を納付しなければ、意匠登録されませんので、ご留意ください。

(13)設定登録

出願人が登録料を納付すれば、意匠登録原簿に登録され、意匠権が発生します。

【参考】意匠権の維持に係る料金
意匠権の存続期間は、出願日から最長25年です。
意匠権を維持するためには、特許庁に年金(意匠登録料)を納付する必要があります。
第1年~第3年:毎年8,500円(印紙代)
第4年以降  :毎年16,900円(印紙代)
※別途代理人の納付手数料がかかります。(代理人を介さず直接特許庁に納付することも可能です。)

(14)登録証発行

意匠権の設定登録後、意匠登録証書が発行されます。

(15)意匠公報発行

意匠権が設定されたことを一般に知らせるために権利内容を記載した意匠公報が発行されます。

【参考】出願から登録までに係る費用
下記に出願から登録までに係る費用の情報をまとめていますのでご参考ください。

・『意匠登録に係る費用について(庁費用など)

 

最後に

当特許事務所は、多数の経験豊富な弁理士、専門家を擁し、迅速かつ高品質な知的サービスを提供いたします。
意匠登録ならHARAKENZO。ご遠慮なくご相談ください。

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