商標の業種別ヒント

【商標】ペット業界の皆様へ

はじめに

 近年、他業界からもペットを意識した商品やサービスの開発、参入がなされています。また、消費者は単にペットの最低限の身の回り品を購入してペットを飼育するにとどまらず、ペットを通じて人生の質を高めようとする傾向にあります。

 さらに、一般的にペット自体やその身の回り品に関し、「ブランド」を意識した商品の選択がなされる傾向が強いように感じます。このような状況においては、ペット商品のブランド化により商品を差別化して競争に打ち勝つことが重要になります。

 実際に、ペットに関する商標はさまざまな商品や役務の区分で出願されています。当所ではお客様のビジネスのお役にたてますよう、知的財産の分野について、皆様の事業をお手伝いしていきたいと考えています。

区分の選定

 ペットに関する商標を出願される場合、どの区分で出願するかを選定する必要があります。商標にはその商品及び役務によって第1類から第45類まで区分があり、第1類から第34類までを商品の区分として、第35類から第45類までを役務、つまりサービスの区分としています。

 商標出願時には、その商標を使用する商品又はサービスが適当な区分においてカバーされているか注意する必要があります。

 ペットは生体販売されるだけでなく、ペットフード、ペット用品を消費し、また、美容や医療などのサービスを受けています。そのためペットに関する商標の区分は多岐にわたります。

 次に代表的なペットに関する区分を紹介いたします。

ペット商品(第1類~第34類)

<獣類・魚類・鳥類及び昆虫類の販売>

 ペットの生体の販売については第31類になります。具体的には、類似群コード33D02において、獣類、愛玩動物、犬、猫、うさぎ、ハムスター、愛玩用の鳥類、観賞魚などが指定商品とされています。

<ペットのフード>

 ペットフード及びえさは第31類の類似群コード33B01が割り当てられています。

 ペットの種類や原材料により指定商品が異なるので、選定には注意が必要です。例えば犬、猫、うさぎなどのペットの種類によっても異なりますし、具体的にささみ、とうもろこし、さけなど原材料によっても異なります。さらに飼料の形態によって、ペット用ガム、ペット用ミルク、ペット用飲料などに指定商品が幅広く分類されています。

<ペットの身の回り品について>

 商品ごとに細かく区分が分かれているので注意が必要です。代表的なものだけでも次のように区分が多岐に分かれます。

第3類  ペットの洗浄剤、消臭剤など

第5類  愛玩動物用薬剤、サプリメントやビタミン剤など

第8類  ペット用爪切り

第9類  ペット探索用電波送受信器具などのペットに関する機器

第18類  愛玩動物用衣服

第20類  ペットの小屋等

第21類  鳥かご

第28類  ペットのおもちゃ

ペットサービス(第35類~第45類)

 ペットショップの開業にあたっては、ペットに関する商品に関する区分だけでなく、ペットに関するサービスという観点の区分での登録も必要となります。

<ペットに関するサービスについて>

第35類

 いわゆるペットショップにおける商品の小売等役務については、第35類で指定します(例:「愛玩動物の飼料の小売または卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群コード:35K11)

 また、「愛玩動物の売買に関する情報の提供」については35B01の類似群コードが与えられています。尚、第35類において広範な範囲の小売等役務を指定して出願を行うと、特許庁から「本当に使用しているか、若しくは使用予定があるのか疑義がある」といった拒絶理由が通知されることになります。いずれもきちんと対応すれば問題なく解消するものですので、拒絶理由が通知されても安易に諦めないことが重要です。

第41類

 ペットに関するものでは、「ペットの調教,動物の供覧,ペットショーの企画運営,開催,愛玩動物の手入れや看護に関するセミナーの実施,動物の衛生看護師、動物の美容師、家庭犬の訓練士、獣医療衛生看護師の資格付与のための資格試験の実施及び資格の認定」等が含まれます。

<ペットを伴うサービス>

第39類 ペットを伴う旅行企画実施

第43類 ペットホテルなどの宿泊施設の提供や一時預かり、また、ペットと人が一緒に飲食できるサービス

第44類 ペットへの医療サービス、美容サービス

第45類 ペットの世話やペットの葬儀や迷子のペットを見つけるための援助

調査

 商標は日本では特許庁で登録されますが、例えば先行商標の有無などによって、登録が拒絶されることもございます。これを防ぐためには、出願前の商標調査が有効です。また、区分や商品(役務)の選定ミスにより、適切な権利範囲が確保できず、トラブルに発展することもあります。

 ペットの身の回り品について、幅広く商品を展開する場合には、商品を網羅的に指定して、より広範な権利範囲を確保する必要があります。尚、区分の増加に伴い費用も増加するため、戦略的な区分の選択が重要となります。

 また、一見すると商品が類似しない場合であっても、区分を超えて類似と推定されている商品は多数ございます。例えば、ペット用の被服類、おもちゃ、クッション、ブラシは異なる区分であっても同じ類似群コードが付されており、原則互いに類似と推定されますので、商標調査の際には注意が必要です。

海外での登録

 また、海外でペットに関する商品を製造、販売、又は輸出入する場合、各国の特許庁に申請するか、あるいは国際登録制度などを使用して各国で商標を登録する必要があります。詳しくは外国の商標制度のカテゴリをご覧ください。

”HARAKENZO more ” はペット業界の皆様を応援します。

 ペットを取り巻く環境は今もなお変化し続けています。

 例えばペットフード・用品の販売数は頭打ちである一方で、個人のライフスタイルを表現するペット商品やサービスの向上が望まれるなど変化の時期にあります。このような消費者のニーズに対応して商品のブランド化を図るためには、まずは先行商標を侵害していないかどうかの調査をすること、そして商標登録を行うことにより、ブランドを保護し模倣品による権利侵害を防止することが重要です。

 ”HARAKENZO more はペット業界の多様な変化に対応し、商標登録を通じてペット業界の皆様の知的財産保護のお役に立ちたいと考えております。まずは、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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