知財情報

主要国の発明の単一性

米国

米国の審査基準によれば、
(a) independent (相互に関連性を持たない。)、かつ(b) distinct (製法と生産物、方法と装置等、それぞれ独立して特許を受け得る関係を有する。)な複数の発明は、一出願で権利化を図ることはできない (MPEP 802) 。
ただし、『審査に格別の負担がない限り、一出願で請求された特許され得る発明に限定要求(Restriction Requirement)をしてはならない。』 (MPEP 803)

 

一出願に含め得る発明のカテゴリーの例

①物の発明と物の製法の発明であって、その製法が異なる物の生産に使用できない場合
②物の発明と用途の発明であって、その用途が異なる物では、実施し得ない場合
③方法の発明と装置または手段の発明であって、それらの装置または手段が異なる方法の実施には使用できない場合

 

 

EPC

ヨーロッパ特許出願は、一の発明または “single general inventive concept” を形成するように関連している一群の発明についてなされなければならない (EPC82条) 。
EPC規則第30条(1) によれば、一群の発明がクレームされた場合、これらの発明が同じか又は対応する特定の技術的特徴を1つ又は複数包含する関係にある場合に限って、 EPC82条 で規定する発明の単一性が満たされる。

一出願に含め得る発明のカテゴリーの例

①生産物、その生産物の製造のために適した一の方法、及びその生産物の一の使用。
②方法、及びその方法を実施するための装置。
③生産物、その生産物の製造方法、及びその方法を実施するための装置。

単一性がないと判断された場合、追加のサーチを行うか否かを問い合わせてくる。追加のサーチを希望する場合、別途、サーチ料を納付することが必要。第2以降のグループ発明に対して追加のサーチを行った場合、本件において第1のグループ発明の権利化ができなくなった場合、 分割出願を別途行うことなく、本件において 、追加サーチが行われたグループ発明の一つに対して権利化を図ることが可能となる。

 

 

中国

一出願中に複数の発明を含むことが認められるのは、これら複数の発明の相互間において一つの全体的構想による関連がある場合だけである (特許法実施細則第35条第1項) 。一つ又は数個の同じ或いは共通する特定の技術特徴(複数の発明を一つの全体として考え、現存技術に貢献する技術特徴)を含むことが必要とされる。

一出願に含め得る発明のカテゴリーの例

①製品及び当該製品の製造のみに用いる方法の独立権利請求。
②製品及び当該製品の用途の独立権利請求。
③製品及び当該製品の製造のみに用いる方法、並びに当該製品の用途の独立権利請求。
④製品及び当該製品の製造のみに用いる方法、並びに当該方法を実施するために専用(専用とは、この製品を別の方法で生産してはいけないという意味ではない。)に設計された設備の独立権利請求。
⑤一つの権利請求の中に記載できない同種(独立権利請求の類型が同じ)の製品又は方法における2以上の独立権利請求。
⑥方法及び当該方法を実施するための専用設備の独立権利請求。

 

台湾

2つ以上の発明が利用上分離できず、且つ、次のいずれかに該当する場合、一つの願書で出願できる (専利法第31条) 。

① 発明の主要構成部分を利用したもの。
② 発明が物の発明である場合において、その物を生産する方法、その物を使用する方法、当該物を生産する機械、器具、装置、又は専ら当該物の特性を利用する物。
③ 発明が方法の発明である場合において、その方法の実施に直接使用する機械、器具、又は装置。

 

 

韓国

In order to obtain a patent, one separate patent application should be made for each invention. However, a group of inventions forming a single inventive concept can be included in one application (Korean Patent Act, Article 45-(1)) . Any of the following applications shall be deemed to have met the requirement of unity of invention (Korean Patent Act Enforcement Decree, Article 6-(1)) :

(i) An application describing an independent claim relating to a product or process;
(ii) If the application includes an independent claim relating to a product,an application selectively or collectively describing independent claims relating to a process for handling the product, a product solely utilizing the specific properties of the product, a machine, instrument or equipment, other products for manufacturing the product, or a product for handling the product; or
(iii) Where the application includes an independent claim relating to a process, an application describing an independent claim relating to a machine, instrument, equipment, or other products for direct use in working the process.

Korean Patent Act Enforcement Decree, Article 6(特許出願の要件) によれば、一特許出願の要件は、次の各号の一に該当しなければならない。

1.物または方法に係る一独立項を記載した出願
2.物に係る一独立項を記載した場合に、次の各目の独立項を選択して記載し、または全てを記載した出願
①その物を生産する方法に係る一独立項
②その物を使用する方法に係る一独立項
③その物を取り扱う方法に係る一独立項
④その物を生産する機械・器具・装置その他の物に係る一独立項
⑤その物の特定性質のみを利用する物に係る一独立項
⑥その物を取り扱う物に係る一独立項
3. 方法に係る一独立項を記載した場合に、その方法の実施に直接使用する機械・器具・装置その他の物に係る一独立項を記載した出願

 

 

以 上

関連記事

TOP