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はじめに
「食品」は生活に非常に身近な商品です。私たちは連日スーパーやコンビニで食品を購入し、飲食店で料理を食べ、食品に関する情報を得るため雑誌や書籍を購入しております。
商標登録の観点から申しますと、2003年~2012年の10年間で、食品に関する区分が登録された件数は、45区分中、第30類(コーヒー,調味料,菓子 等)は第2位、第29類(動物性・農産物性食品 等)が第8位の件数となっており、食品に関する商標が非常に多く登録されていることがご理解頂けると思います。
一般に「食品」とは人間が食べる商品であり、動物が食べるものは「飼料」と呼ばれます。「食品」には野菜や果実などから、それらを加工した食品(加工食品)も含まれ、「飲食料品」という場合には、一般に各種飲料も含まれます。
食品を中心として、生産者、加工業者、配送業、卸・小売業といった様々な業種が介在しておりますが、これらの事業に商標を使用する場合には、各事業の分野で商標登録が必要となります。
食品を取扱う食品業界の皆様において、商標登録を行う上で役立つ情報を知って頂きたく、このようなページを設けた次第です。
「加工食品」について
「食品」に使用する名称を商標登録する場合には、まず第29類から第33類までの登録を検討することが必要です。「食品」という漠然とした商品を指定することは出来ず、具体的な食品名を指定する必要があります。具体的には、以下の通り様々な区分に各種商品は分類されます。
- ●ハム、ベーコン → 第29類
- ●すし、たこ焼き → 第30類
- ●海藻類、とうもろこし → 第31類
- ※第29類には加工食品が分類され、加工前の食品は、主に第31類に分類されます。
<加工前>
- ●果実 → 第31類
- ●野菜 → 第31類
- ●食用魚介類(生きているものに限る。) → 第31類
<加工後>
- ●加工果実、冷凍果実 → 第29類
- ●加工野菜 → 第29類
- ●食用魚介類(生きているものを除く。) → 第29類
菓子・調味料について
菓子、パン、ケーキといった食品は第30類に属し、これらは類似の商品と推定されております。
調味料も第30類で登録を行います。「さ・し・す・せ・そ」に対応する「砂糖」、「塩」、「酢」、「しょうゆ」、「味噌」等も第30類に含まれますが、酢としょうゆは類似の商品と推定されており、その他の砂糖、塩、味噌はそれぞれ非類似の商品と推定されております。
尚、日本では調味料として販売されている「みりん」ですが、こちらは第30類には分類されず、酒類と同じ第33類に分類されます。
「コーヒー」と「コーヒー豆」について
第30類には「コーヒー」という商品と、「コーヒー豆」という商品が分類されております。
「コーヒー」には、コーヒー飲料が含まれる他、「焙煎したコーヒー豆」が含まれます。一般に家庭で消費するコーヒー豆は「焙煎したコーヒー豆」ですから、商品「コーヒー」の概念に含まれます。
では、「コーヒー豆」は何かというと、焙煎前の「コーヒー豆」であり、一般に黒くなる前、すなわち焙煎する前の「コーヒー豆」自体となります。
このように商品「コーヒー」と「コーヒー豆」は、類似の商品では無いと推定されておりますので、指定を間違えないよう注意する必要があります。
飲食店とコラボ商品について
飲食業にはレストラン、寿司屋、焼肉屋、ラーメン屋等の様々な業種があり、これらは店内で料理を提供する役務であり、第43類に分類されます。
また、宅配ピザ、宅配寿司等のデリバリーについても、飲食業の役務と同じく第43類に分類されます。
近年、有名なイタリアンレストランやラーメン屋とコラボした商品が企画されることが多く、コンビニでは「~店で提供されるパスタ」の販売や、「~店の味を実現した」カップラーメンの販売が行われています。
飲食業の役務自体は第43類に分類されますが、「パスタ」「カップラーメン」は第30類に属する商品ですので、イタリアンレストランやラーメン屋の商標を、上記商品に付して販売等するためには、第30類での商標登録が必要となりますので、ご注意ください。
卸・小売業者について
平成18年法改正により、卸・小売業者が使用する商標も保護することが可能となりました。例えば、スーパーマーケットの店の看板や、買物かご、従業員の制服・名札への商標の使用は、第35類の小売等役務で保護することが可能です。
また、近年ではPB(プライベートブランド)といった卸・小売業者が独自に展開する商品が多く店頭に並びます。PB商品は各商品に独自に商標を付けて販売しますので、第35類の小売等役務だけで保護されるものではなく、PBで取り扱う各商品の区分にそれぞれ商標登録が必要です。
”HARAKENZO more ” は食品業界の皆様を応援します
食品業界は生活に非常に身近な業界であり、非常に多くの登録商標が存在するため、紛争が発生しやすい業界とも言えます。
”HARAKENZO more ” としても食品業界の皆様の知的財産保護にお役立ちしたいと考えておりますので、まずは、お気軽にご相談頂ければ幸いです。