国内意匠制度

意匠調査とは

意匠調査とは

このページでは意匠調査について紹介します。

意匠調査:公開データベース(主にJ-plat-patと呼ばれるサイト)を活用し、自社のデザインに類似の先行登録意匠の有無や、登録意匠と自社のデザインを比較して、登録可能性や侵害リスクの有無を調査することです。

J-plat-patは知財、つまり知的財産権と呼ばれるもののうち、特許および実用新案、意匠そして商標の4種類の情報が蓄積されています。

J-plat-patのサイトマップ上、ホームの所に、「意匠」の項目があることが確認できると思います。特許庁に対して出願され、登録が認められて、晴れて意匠権として公開された意匠は、この項目から確認できます。

関連情報として、意匠権固有の登録番号だけでなく、権利の内容、例えば「意匠に係る物品」等を指定して、調査を実施することもできます。

意匠調査の種類

意匠調査は実施の目的により、以下のいくつかの種類に分類することができます。
主な意匠調査の種類は以下の通りです。

(1) 意匠登録可能性調査: 意匠出願にあたり、登録の妨げとなる先行意匠が存在するかどうかを調査します。
(2) 意匠クリアランス調査: 意匠を実施するにあたり、他人の意匠権を侵害するリスクがないかを調査します。
(3) 意匠無効の調査: 他人の意匠権に対し、誤って登録された瑕疵ある権利でないかを検討します。
例えば、他人が所有する意匠権の侵害であるとして、警告状を受け取ったとき等に有効な調査です。

 

このうち、 (2)については、主にJ-plat-patのサイトを活用して、登録された意匠権と調査対象のデザインが類似するかどうかを判断する内容の調査を実施することになります。

一方で、(1)と(3)の調査は、上記のサイトだけでなく、文献やインターネット、カタログ等をフルに活用して、意匠に関する様々な情報を確認しつつ実施することになります。

意匠権は独占排他的な権利です。意匠権の権利範囲は既に登録されているデザイン(意匠)だけでなく、登録意匠に類似するデザインにまで及びます。したがって、登録済みの意匠だけでなく、その周辺、つまり登録意匠の類似範囲に属する意匠まで把握することが重要となります。

他社の意匠権を侵害してしまった場合には、たとえそれが意図的なものでなくても、差止請求や損害賠償請求等を受ける可能性があります。
また、例えば訴訟を提起されて、それがニュースとして大々的に報道された場合、社会的なイメージが毀損されることにもなり得ます。
意匠調査を事前に行って、出願した場合の登録可能性を見極めるだけでなく、他社の意匠権侵害のリスクを回避することも可能です。

意匠調査の種類とタイミング

意匠調査はいつ行うかによって、種類が異なります。
以下はあくまで例示ですので、ご希望にあわせて調査内容を調整することも可能です。

①開発デザインの検討時

・意匠クリアランス調査を行います

例えば、企画段階である程度デザインの候補が出そろったタイミングで、意匠クリアランス調査を実施します。
他者の権利を意図せず侵害してしまっては大変ですから、少しでも意匠権侵害のリスクがあるデザインは、候補選定の段階で除外することにより、安心して意匠を実施できます。

②意匠出願前

・先行意匠調査を行います

例えば、デザイン案が絞り込まれた段階で、かつ最終的なデザインが決定される前に、意匠登録可能性調査を行うことが考えられます。
その結果をデザイナー・開発担当者等と共有し、デザインの最終決定について、方針を定めることに役立ちます。また、出願前に登録可能性を知ることで、無駄な出願コストを回避します。
意匠登録可能性調査の結果を踏まえて、関連意匠出願等も含めてしっかりと検討しておくことで、デザイン開発と知財戦略の効率化を図ることができます。

③第三者から警告を受けたとき

・無効調査により相手方の権利の有効性に関する検討材料を提供します

ある日突然警告状が届く、というようなことが、知財の業界では起こり得ます。
そのような場合、焦って対応しても良いことはありません。
まずは慎重に、警告してきた相手方の主張が妥当なものかどうか、検討することが大切です。
対応に当たっては、例えば、以下のような情報を調査します。

  • 相手方が所有する意匠権の内容を精査
  • 当該意匠権に係る物品が属する分野全体を、丁寧に確認
  • 登録意匠の権利範囲(同一又は類似の意匠と判断される範囲)の確認
  • 被侵害デザインと登録意匠の共通点・差異点を分析し、最終的に類似しているかどうかを判断する
  • 相手方の権利を無効にするための資料の存在を確認

実際の判断にあたっては、特許庁や裁判所の判断等、蓄積された情報を精査する必要があります。
専門的な知識が必要になるため、ご自身で判断せず、専門家である弁理士に相談されることをお勧めします。

意匠調査の流れ

インターネットのサイトを活用し、意匠調査をしてみましょう。
特許情報プラットフォームJ-PlatPatを利用し、先行意匠について確認できます。
※画像意匠の場合は、画像意匠公報検索支援ツールGraphic Image Parkを併用します。

具体的な手順を以下にご紹介します。

(1)検索条件の設定

調査対象期間を設定します。侵害調査の場合は権利存続期間内を対象期間とします。
※さらに遡ることにより、より調査精度を高められる場合もあります。
日本意匠分類の照会
日本意匠分類とは、物品の用途及び機能に応じて、付与されるアルファベットと数字からなる分類コードです。
※分類コードが異なっても、物品は非類似とは限りません。
Dタームによる絞り込み
日本意匠分類を形状や模様などに応じて更に細分化したものです。平成17年1月1日から施行した日本意匠分類に用意されています。日本意匠分類の末尾にアルファベットが付与されます。
※Dタームが付されていないものもあります。

 

対象とする意匠の意匠番号がわかっていれば、直接意匠番号照会も可能です。また、「意匠に係る物品の説明」や、意匠権者等のキーワードで絞り込んで検索することも可能です。

(2)登録意匠の抽出

(1)で設定した検索条件をもとに登録意匠の抽出を行います。検索範囲を広めにして、情報を抽出することで、調査結果を検討する際に漏れのない、より正確な判断が可能になります。

(3)調査結果の検討

① 物品の用途機能・形態・新規性・創作非容易性等の認定
② 共通点・差異点の評価
③ 意匠全体での類否判断

上記の観点をもとに総合的に調査結果を検討します。

より強固な意匠網を構築するには

より強固な意匠網を構築するには日々の情報のアップデートが欠かせません。

自社のデザインだけでなく、他社のデザインあるいはその周辺意匠等の権利範囲情報等包括的な製品分野の情報収集が重要です。

意匠調査の内容についてお困りの場合は、ぜひ一度、意匠の専門家にご相談ください。

意匠の他、特許、実用新案、商標その他知財に関することであればお気軽にお問い合わせください。当所の意匠専門の弁理士がいつでもご相談にお乗りします。

関連記事

TOP