外国の商標制度

カナダの商標制度

はじめに

カナダにて商標権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載しております。
本ページが、お客様が海外で知財保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立てください。

※<カナダ商標出願から登録までの期間目安> ※2018年3月時点
現状では、出願から登録されるまでの期間目安は、約18ヶ月程度となっております。

カナダにおける商標権

★【改正商標法の施行について】 ※2019年6月17日より施行

・主な改正内容
1)出願基礎の廃止・使用宣誓書の廃止
出願時に出願基礎の特定(商標の使用状況に関する情報)が不要になる。
また、従来、「使用意思に基づく出願」で提出が求められていた「使用宣誓書」の提出が不要となり、2019年6月17日時点で係属中の出願にも適用される。

2)ニース国際分類が適用され、区分制度が始まる
これまでカナダは、区分制度を採用しない国であったが、改正法施行によりニース分類に基づく区分指定が要求される。
これまで区分指定せず登録されていた商標は、改正法施行後の更新時にニース分類に従った分類分けが必要になる予定。

3)商標権の存続期間が10年に
これまで15年であった商標権の存続期間が、10年に短縮となる。改正前の登録商標は、改正後も15年のまま継続されるが、次回更新時、2019年6月17日以降に更新期限を迎えるものから10年の存続期間となる(改正法施行前に更新手続をしたとしても、2019年6月17日以降に存続期限を迎えるものは、10年の更新となる)。

4)商標の定義の拡大
定義が大幅に拡大された。ホログラム商標・動き商標・音商標、さらには、味商標・匂い商標・触覚商標に至るまで出所識別機能を有するものは保護が可能。

5)識別性の審査の厳格化
改正法により「識別力の欠如」を理由とした拒絶理由が拡充され、審査が厳格化される。

6)マドプロに加盟
マドプロ出願でカナダを指定国とすることが可能になる。

7)Official Feeの改訂
区分制度の導入により、区分ごとに出願印紙代、更新印紙代が発生することとなる。多数区分に渡る出願は、改正法施行前に手続すると費用が抑えられる。

8)出願分割制度の導入開始
改正法により、出願の分割が認められるようになる。

A.出願から登録まで

(1)使用主義と登録主義
カナダでは、商標を使用することを前提に商標権が発生する「使用主義」の制度が採られている。

(2)分類(商品または役務)
改正前の商標法では、指定商品や指定役務などの分類制度や区分の概念がなかったが、2019年6月17日の改正によりニース分類に基づく商品/役務指定が必要となった。

(3)出願~審査まで
①願書に必要な情報
 ●出願人氏名/名称および住所(英語表記)
 ●商品/役務、区分の記載
 ●商標に関する説明

②審査
日本の商標制度同様、審査上は先願主義が採用されている。
・拒絶理由通知⇒応答期間:6ヶ月以内
・審査の結果、拒絶理由が見つからない場合、あるいは拒絶理由が解消した場合、許可通知(Notice of Approval)が発行される。

③ディスクレーム(権利の部分放棄)
審査官からのディスクレーム(=商標の一部に、記述的などと認められる識別力を欠く語が含まれている場合、その部分についての排他的権利を要求しないこと)の要求はないものの、出願人の意思で自発的にディスクレームを宣言する事は可能である。

(4)出願公告
許可通知(Notice of Approval)の発行後、出願公告によって、異議申立の機会が設けられる。
異議申立期間は、出願公告の日から2ヶ月以内であり、何人でも異議を申し立てることができる。

(5)商標登録・更新
①登録
異議申立期間の経過後、登録証が発行される。
※2019年6月17日より前に出願された出願については、登録料の支払いが必要であり、その後登録証が発行される。

②存続期間
登録日から10年間(更新可能)

③更新
存続期間満了6ヶ月前に、更新手続を行う必要有。

B.マドプロ出願について

2019年6月17日付でマドリッドプロトコルに加盟済

C.条約

主な条約への加盟状況は以下の通り

パリ条約 WTO協定 商標法条約 マドプロ ニース協定
加盟 加盟 加盟 ※ 加盟 ※ 加盟 ※

※ これらの発効日は2019年6月17日である。

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