外国の意匠制度

オーストラリアの意匠制度

 

1.はじめに

オーストラリアにて意匠権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載しております。

本ページが、お客様が海外で知財保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立てください。

  • ご相談・ご質問事項について 本記事に関してご質問事項等がございましたら、TELもしくはEメール(法務部宛)、またはお問い合わせフォームからご相談を受け付けております。是非お気軽にお問い合わせください。

2.意匠の種類

意匠には以下の2種類があります。

(1) 通常意匠

(2) Multiple designs

・以下のいずれかに該当するものに限り1出願として出願することができます。

  • a) 一物品に係る一意匠
  • b) 複数の物品に共通する一意匠(ナイフとフォークのセット等)
  • c) 一物品に係る複数の意匠
  • d) 複数の物品がロカルノ協定分類の同一の類に属する物品である場合に、それらに係る複数の意匠 保護対象:物品の形状、外形、模様、装飾
    保護対象外:物品の触感、素材、大きさが定まらないもの、1単位以上の連続する模様

<特殊事情>

(1) 部分意匠

意匠は製品の全体的な外観に関連するものと考えられており、物品の一部に関してのみ意匠保護を受けることはできません。しかしながら、新規性及び識別性の記載(Statement of Newness and Distinctiveness)を利用して、製品の特徴的な形状を意匠の特徴として記載することは可能です。また、意匠法上は認められていないものの、特徴以外の部分を破線で表す手法は従来から一般的に取られています。

(2) 非物理的意匠及び「アクティブ状態」の意匠

アプリのアイコンやGUIは特定の物品に物理的に適用されないものであって、一時的に製品の画面上に表れるものです。現状、多くのGUIが登録され、データベース上で公開されています。しかしながら、オーストラリア知的財産局では、これを「意匠」の定義から外れているとして証明(Certified)しない可能性が高く、その場合はたとえ登録されたとしても有効な意匠権として他人に権利行使をすることができません。

3.出願ルート

パリルートでの出願が可能です。優先権の期間は出願日から6ヶ月です。

4.出願に必要な書類

(1) 願書及び図面(書類は英語で作成する必要があります。)
*図面に代えて写真、デジタルイメージ、見本(平面上に容易に置くことが可能であって、他の書類と一緒に容易に保存ができる物に限る)を提出することができます。

(2) 必須ではないがあればよいとされる提出書類
a) 特徴記載書
b) 先行技術文献(出願時に知っている場合)
c) 製品の使用方法及び機能についての簡単な説明

5.登録可能な意匠

新規性、識別性を有している意匠

・先行文献基準は世界中で公開されたもの、又はオーストラリアで使用されたもの

◇グレースピリオド
2022.3.10に施行された改正意匠法により、12ヶ月のグレースピリオドが導入されました。

<グレースピリオドの適用要件>
・意匠の最初の開示から12ヶ月以内に出願*されていること
(*優先権主張の場合、出願日は、優先日が基準となります。)
・意匠の最初の開示が、デザイナー、名義人、承継人、デザイナー又は名義人から権限を与えられた者による開示、又はデザインが盗用された場合であること

<適用除外>
・意匠登録による公開
・外国の庁及び国際機関(WIPO)による公開

※2022/3/10以降の出願又は優先日が2022/3/10以降の出願に適用される
※2022/3/10以前の開示については、12カ月のグレースピリオドが適用されませんが、以下の既存の規定が適用されます。

  • 意匠の最初の公開又は使用が行われた日から6ヶ月以内に意匠出願をした場合に限り、新規性、識別性の判断基準として考慮されない。
  • 規則で定められる博覧会での公開・使用行為(意匠の登録所有者又は登録所有者の前権原者の同意を得て,規則が定める状況において行われる意匠の公開又は使用)
  • 意に反する公開・使用行為(意匠の登録所有者又は登録所有者の前権原者から意匠を派生させた又は取得した別の者が,意匠の登録所有者の同意なしに行う意匠の公開又は使用)

6.出願公開

出願公開制度はありません。

ただし、意匠出願人は出願時(又は優先日)から6ヶ月以内に公開請求又は登録請求をする必要があります。もし、どちらの請求もしない場合、当該出願は消滅します。

7.審査

実体審査はなく、方式審査を満たせば登録されます。

なお、登録意匠の証明の為に、登録後に実体審査を請求することができます。(意匠法第63条、64条)その場合、新規性及び識別性について審査がされます。

8.異議申立

異議申立て制度はありません。

9.登録

存続期間は出願日から5年です。延長申請により最長で出願日から10年です。但し、出願日が2004年6月17日前の出願は最長で出願日から16年となります。

10.権利行使

意匠権者は、権利行使の前に、意匠出願について登録、実体審査及び認定を受けなければならなりません。

11.その他

関連意匠制度、秘密意匠制度は採用されていません。

意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改訂協定には加盟していません。

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