目次
(1)はじめに
衣類は複数のデザインが組み合わさって出来ています。色、形、素材、どれをとっても同じものはありません。近年では「ファストファッション」「プチプラ」などの言葉で象徴されるように、安く衣類を手に入れることが出来、気軽におしゃれを楽しむことが流行しております。日本発のファストファッションは今や海外でも大人気です。日本政府が海外向けに日本文化を発信する「クールジャパン」戦略の中にも日本のファッション文化の発信が含まれています。
「衣服及び身の回りの品」としての意匠登録件数は2019年一年間で2,441件、意匠登録全体の9%未満とあまり多いとは言えませんが、デザインの組み合わせであるファッションだからこそ、意匠権を取得しておくことが重要になってきます。
また、令和元年の意匠法大改正により、意匠権の存続期間が出願日から25年と実質的に延長されたことから、ファッショントレンド20年周期説を踏まえた、長期的かつ投資的な知財戦略を視野に入れることも出来ます。
(2)アパレル産業と意匠権
アパレル産業において意匠権で保護されるものは多岐にわたります。靴やズボンの完成品はもちろん、ボタンやベルトのバックル等の部品まで保護されます。さらに衣服全体が意匠登録されるだけでなく、一部のデザインを部分意匠として登録することもできます。よって袖のデザインや襟のデザインだけに限定して意匠権を得ることが出来るのです。以下は衣類に関する意匠権を取得した物の一例です。
★ティーシャツ(部分意匠)
Bグループ(衣服及び身の回り品)
(株式会社LDH 登録意匠第1432316号)
★ユニフォーム
Bグループ(衣服及び身の回り品)
(一般社団法人日本野球機構 登録意商第1508953号)
Bグループ(衣服及び身の回り品)
(アディダス インターナショナル マーケティング ベー ヴェー 登録意匠第1267395号)
★ジーンズパンツ
Bグループ(衣服及び身の回り品)
(リーバイ・ストラウス・アンド・カンパニー 意匠登録第1097199号)
★短靴
Bグループ(衣服及び身の回り品)
(エルメス セリエ 登録意匠第1386944号)
★短靴(部分意匠)
Bグループ(衣服及び身の回り品)
(株式会社エスエスケイ 登録意匠第1144364号)
★ボタン(部品)
Bグループ(衣服及び身の回り品)
(モリト株式会社 登録意匠第1545002号)
★ベルト用バックル(部品)
Bグループ(衣服及び身の回り品)
(エルメス セリエ 登録意匠第1256833号)
また、アパレル業界は、他製品と比べ製造が安易なことから、模倣品が大変多く出回っています。近年は模造品の流通も増加し、国際的な問題となっています。商品の模造を防ぐためにも、意匠権で商品を保護することが重要です。
(3)海外で模倣品が出回ってからでは遅い
ひとたびファッションが流行すると、外国、特に東アジアから模倣品が国内に流入し、出回ることがあります。また、現地で意匠や商標の出願が済まされてしまっていることも多いものです。
そういった事態に直面した後で、やっと海外で権利保護を図ろうとしても大変厳しい状況になりますので、国内での意匠権取得と同時に海外諸国でも意匠出願を行うことを強くお勧め致します。海外での展開を考える際にも、ぜひ、お気軽に当所にご相談ください。
欧州・米国などの知財先進国をはじめ、近年では東アジア、東南アジア諸国、その他各国において意匠の取扱は様々でございます。意匠登録を行う方法にも、各国において必要なノウハウが存在しますので、この点はお気軽にご相談頂ければ幸いです。
また、2015年より我が国もハーグ協定に加入したことから、国際意匠登録制度の利用が可能となったため、手続面・費用面共に負担を軽くすることができます。
国際意匠登録制度について詳しくはこちらをご欄ください。
(4)”HARAKENZO more ” はアパレル業界の皆様をサポートします
アパレル業界において、意匠を出願することは「製品の注目を集めること」において有用である、とのデータが出ております。国内外で意匠登録をしたいとお考えの方は、”HARAKENZO more ” までお気軽にご連絡ください。