出展:特許庁(条約の概要表)
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wipo/riyadh-design-law-treaty.html
意匠法条約を確定し採択するための外交会議が、2024年11月11日から11月22日にサウジアラビア・リヤドで開催され、新条約が、「リヤド意匠法条約(Riyadh Design Law Treaty)」として、同月22日に採択されました。
リヤド意匠法条約は、世界知的所有権機関(WIPO)の商標法、意匠法及び地理的表示に関する常設委員会(SCT)において、各国で異なる国内手続を調和・簡素化することにより、出願人の負担を軽減することを目的に、2005年から議論が行われてきたものです。グレースピリオド(新規性喪失等の例外)や出願・登録意匠の非公表の維持(秘密意匠制度)、手続期間を徒過した場合や権利を喪失した場合等に一定の条件下で提供される救済措置が盛り込まれています。
本条約は、15の国又は政府間機関が批准書又は加入書を寄託した後3か月で効力を生じます(第30条(2))。
採択されたリヤド意匠法条約の主な内容
採択された条約の主な内容は以下のとおりです。
① 出願及び申請時に官庁が課すことができる要件
条約は、意匠出願、更新、名義変更又は実施権の記録の申請書類において、締約国が要求することができる要件や記載事項を列挙・明記し、更なる要件を締約国が課すことを禁止する旨を定めています。
② グレースピリオド(新規性喪失等の例外)
出願前に公開された意匠は、原則として、新規性を喪失したものとみなされ保護されませんが、条約は、グレースピリオドの期間(優先日から遡って12か月)に意匠が公開されたとしても、その意匠の新規性等が喪失しないものとして取り扱う旨を定めています(但し、締約国は、条約への加盟時に、当該規定の適用を留保することを宣言することができます)。
③ 出願・登録意匠の非公表の維持(秘密意匠制度)
条約は、出願・登録意匠を出願日から起算して最低6か月、非公表のまま維持することを可能にする締約国の義務を定めています(但し、締約国は、条約への加盟時に、当該規定の適用を留保することを宣言することができます)。
④ 手続救済措置
(a)官庁が指定する手続期間の延長
条約は、官庁が指定する期間を、条約・規則で定める要件が満たされることを条件として、少なくとも一箇月延長する救済措置の導入を締約国の義務とすることを規定しています。延長申請書の官庁への提出のタイミングを、期間徒過前とするか又は後にするかは締約国が選択可能です。
(b)意匠出願又は登録に関する権利回復
締約国は、期間徒過後の期間の救済措置(上記(a)参照)を提供しない場合であって、期間不遵守の直接の結果として権利喪失を引き起こしたときは、一定の基準(相当な注意基準又は故意でない基準)及び条約・規則で定める要件が満たされることを条件として、意匠出願又は登録に関する出願人又は名義人の権利を回復する義務を負います。
(c)優先権主張の訂正・追加
締約国は、条約・規則で定める要件が満たされることを条件として、優先権主張の訂正又は追加を認める義務を負います。
(d)優先権回復
締約国は、優先期間を過ぎた後であっても、一定の基準(相当な注意基準又は故意でない基準)及び条約・規則で定める要件が満たされることを条件として、優先権を回復する義務を負います(但し、締約国は、条約への加盟時に、当該規定の適用を留保することを宣言することができます)。
リヤド意匠法条約に関するその他の情報につきましては、以下のページをご参照ください。
特許庁(条約の概要表)
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wipo/riyadh-design-law-treaty.html
WIPO(条約・規則・附帯決議の詳細)
https://www.wipo.int/meetings/en/doc_details.jsp?doc_id=639157