海外進出のための商標の話

海外での商標選択のコツは?

グローバル化が進んだ近年では、日本のみならず外国においても同じ商品を販売したりサービスを展開したりすることが多くなっています。その場合に、各国で同一の商標を展開することができれば、ブランド力の向上・強化に伴う種々のメリットを享受することができるでしょう。

但し、外国において使用する商標(ネーミング)の選定に際しては、次のことについて留意する必要があります。

異なる言語圏であることを考慮

日本であれば、文字のネーミングとしては、漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット等の構成が考えられます。日本において漢字・ひらがな・カタカナのネーミングを使用していた場合には、当然ながら、そのネーミングのまま海外で使用することは難しくなります。多くの国では日本語の漢字・ひらがな・カタカナは読むことができないからです。したがって、世界共通のブランドのネーミングを選定する場合には、アルファベットで構成するのが通常といえるでしょう。

但し、その国における特殊な文字(中国であれば中国語、韓国であればハングル、ロシアであればキリル文字等)はやはり現地の人に一番親しまれている言葉であり、なじみやすいというメリットがあります。したがって、アルファベットの世界共通ブランドに加えて、各国における文字態様でもブランド展開するという戦略もあります。その場合には、音や意味から現地語に翻訳することが必要です。

外国でのイメージ調査

上述の通り、言語体系は国によって異なるため、日本では普通に使用できるネーミングであっても他の国において悪いイメージの言葉と認識される場合があり、注意が必要です。

有名な例では、大塚製薬の「POCARI SWEAT」は、英語圏では「SWEAT」が「汗」を連想させるため、飲み物としてはあまり良くないイメージとなってしまいます。また、カルピス株式会社の「カルピス(CALPIS)」は、発音が英語の「COW PISS(牛の尿)」と重なるため、米国等では「CALPICO」という商品名で売られています。

このように、海外ではとんでもない意味を持つ言葉になってしまう可能性がありますので、自社の現地法人や特許事務所を通じて、ネーミングが使用予定の国においてネガティブなイメージないかどうかをしっかり確認しておくことが大事です。

外国での商標調査

商標権は国ごとに成立し、その効力は登録を受けた国に限られるのが原則です。したがって、日本で商標権を有していたとしても、外国においては第三者が同一・類似のネーミングについて商標権を有している可能性があります。その場合には全世界で統一したネーミングを使用することは難しくなってしまいますので、全世界で統一したネーミングを使用したい場合には、海外での商標調査も前もって行っておく必要があると思います。(但し、どの国でも類似の先行登録がない商標というのは、現実的には存在しがたいですので、ある程度の数の国で同一のネーミングを使用したい場合には、先行権利者との譲渡交渉や不使用取消請求等を視野に入れる必要があるでしょう。)

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