目次
か
国際公開
国際出願に係る請求の範囲、明細書、図面などを公開することをいいます(条約第21条)。国際公開された国際出願の内容は、世界知的所有権機関(WIPO)のホームページより検索し、閲覧することができます。国際公開は、原則として優先日から18ヶ月(1年6ヶ月)経過後に、国際事務局により行われます(条約第21条(2)(a))。
詳しくはこちらをご覧ください。
国際出願
特許協力条約(PCT)に基づいてなされた出願を指します(条約第3条)。1つの国際出願をすることにより、PCT条約の締約国において同時に出願したものと同等の効果が得られます。
国際事務局(IB: International Bureau)
特許協力条約(PCT)の管理運営に関する業務を担う事務局を指します。主な業務として、国際公開、国際出願の写しの各指定官庁への送付などがあります。また、受理官庁として機能する場合もあります。
国際段階
一般的に、国際出願後、各指定国の国内段階に移行するまでの段階を指します。通常、出願人は、国際段階において、国際調査報告などに応じて何れの締約国の国内段階に移行するかを判断します。
国際調査
国際出願の請求の範囲に記載されている発明が新規性、進歩性を有するかどうかを判定するにあたり、関連のある先行技術を発見することを目的として行われる調査です(条約第15条~第19条等)。国際調査は、国際調査機関により行われます。
詳しくはこちらをご覧ください。
国際調査機関(ISA: International Searching Authority)
人員及び資料等の一定の要件を満たしている国内官庁及び政府間機関のうち、世界知的所有権機関(WIPO)の総会により選定された機関を指します(条約第16条(3)、規則36.1)。国際調査機関は、国際調査を行い、国際調査報告及び国際調査機関の見解書を作成します。なお、2012年7月1日現在、国際調査機関は、日本、米国、中国などの特許庁、欧州特許庁など、計15機関です。
国際調査機関の見解書(ISO: International Search Opinion)
国際出願の請求の範囲に記載されている発明の新規性、進歩性及び産業上の利用可能性等についての見解が示された書面です(規則43の2.1)。国際調査機関により作成されます。
詳しくはこちらをご覧ください。
国際調査報告(ISR: International Search Report)
国際調査により発見された先行技術が記載された書面です。国際調査機関により作成されます。国際調査報告は指定官庁に送達されます(条約第20条、規則47.1)。これにより、各指定官庁は、自国の国内段階へ移行された国際出願の審査にあたり、国際調査報告を利用することができます。
詳しくはこちらをご覧ください。
国際予備審査
国際出願の請求の範囲に記載されている発明の新規性・進歩性・産業上の利用可能性について、予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とした審査です(条約第33条~第35条等)。出願人の請求により、国際予備審査機関によって行われます(条約第31条)。
詳しくはこちらをご覧ください。
国際予備審査機関(IPEA: International Preliminary Examination Authority)
人員及び資料等の一定の要件を満たしている国内官庁及び政府間機関のうち、世界知的所有権機関(WIPO)の総会により選定された機関を指します(条約第16条(3),第32条(3),規則36.1)。国際予備審査機関は、国際予備審査を行い、国際予備審査機関の見解書及び国際予備報告を作成します(条約第32条~第35条等)。
国際予備審査報告(IPER: International Preliminary Examination Report)
国際出願の請求の範囲に記載されている発明の新規性、進歩性及び産業上の利用可能性等についての見解が示された書面です(規則43の2.1)。国際予備審査機関により作成されます(条約第33条~第36条)
国内移行
国際出願を、国際段階から各指定国の国内段階へ移行することをいいます。国内移行に際して、各指定国の国内官庁(指定官庁)に対し、必要に応じて翻訳文の提出や手数料の支払いをします。国内移行は、原則、優先日から30ヶ月以内に行う必要があります(条約第22条, 第39条)。
詳しくはこちらをご覧ください。
国内段階
一般的に、各指定国の国内段階に移行された後の段階を指します。各国の官庁により特許性に関する審査が行われる段階です。出願人は、国際出願を国内段階に移行した後、請求の範囲などについて補正する機会が与えられます(条約第28条, 第41条)。
さ
34条補正
国際予備審査を請求した出願人が、国際予備審査報告が作成されるまでの期間にすることができる補正です。補正は、請求の範囲、明細書及び図面についてすることができます。補正の回数に制限はなく、国際予備審査報告が作成されるまでの期間であれば何回でもすることができます。(条約第34条,規則66.1(b))
詳しくはこちらをご覧ください。
自己指定
国際出願における優先権主張の基礎とする国内出願(基礎出願)をした国を、指定国として指定することです。例えば、日本国特許庁にした国内出願に基づく優先権を主張した国際出願において日本国を指定国として指定することは、自己指定となります。自己指定された指定国における優先権の主張の効果は、各国内法令により定められます(条約第8条(2)(b))。日本国の場合、基礎出願に基づく国内優先権(特許法第41条)を主張してなされた出願とみなされます。
指定官庁(DO: Designated Office)
指定国の国内官庁です。出願人は、優先日から30ヶ月以内に指定官庁に対して、国際出願の翻訳文(各指定官庁が定める所定の言語に翻訳したもの)を提出し、国内手数料の支払いなどを済ませることで、国際出願は指定国の国内段階に移行します。
指定国
出願人が、国際出願の願書において発明の保護を求める国として指定した国です。なお、通常の国際出願では、出願人は全ての締約国を指定国として国際出願をしたものとみなされます(いわゆる、みなし全指定)。締約国によっては、指定国から除外することができる場合もあります。
19条補正
国際調査報告を受領した出願人が、国際調査報告の送付の日から2ヶ月の期間又は優先日から16ヶ月の期間のうちいずれか遅く満了する期間内にすることができる補正です。補正は、請求の範囲について1回に限りすることができます。(条約第19条,規則46.1)
詳しくはこちらをご覧ください。
受理官庁(RO: Receiving Office)
出願人が住所等を有する国等の官庁を指します。出願人が日本人の場合、受理官庁は日本国特許庁(JPO)となります。
世界知的所有権機関(WIPO: World Intellectual Property Organization)
世界中で知的財産の保護を促進することを目的とする、国際連合の専門機関です。WIPOの本部はスイスのジュネーブにあります。WIPOは国際事務局(IB)を運営し、また、パリ条約、特許協力条約(PCT)など、産業財産権に関する様々な条約を管理しています。
選択官庁(EO: Elected Office)
選択国の国内官庁です。国際予備審査機関により作成された国際予備審査報告は、国際事務局を介して各選択官庁に送達されます。
選択国
出願人が、国際予備審査を請求する場合に、国内段階における審査において国際予備審査の結果を利用することを意図する国として選択した国です。
た
締約国
特許協力条約(PCT)を締結した国を指します(条約第1条)。締約国は、2012年10月現在、米国、中国、欧州各国、韓国、日本などの主要国を含め、146か国です。
特許審査ハイウェイ(PPH: Patent Prosecution Highway)
2以上の国の特許庁間の取り決めに基づき、1つの特許庁で特許可能と判断された発明を有する出願について、出願人の申請により、他の特許庁において簡易な手続で早期審査が受けられる枠組みです。日本国特許庁は、米国特許庁、欧州特許庁、中国特許庁、韓国特許庁などの特許庁との間でPPHプログラムを実施しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
特許協力条約(PCT: Patent Cooperation Treaty)
同一の発明に対し複数の国で発明の保護を求めるに際し、出願人及び各国の特許庁の重複した手続きや審査を軽減する事を目的として、1970年6月19日にワシントンで締結された条約です。PCTの締約国は、2012年10月現在、146か国です。PCTに基づいて国際出願をすることで、1つの出願で複数国へ同時に出願したものと同等の効果が得られます。PCTは、パリ条約第19条の「特別の取極」に該当し、パリ条約に抵触しない範囲で国際的に統一された出願手続を提供しています。
特許性に関する国際予備報告(第Ⅰ章)
国際予備審査が行われない国際出願について、国際調査機関の見解書に付される表題です。国際事務局により作成され、指定官庁に送付されます(規則44の2.1)。
特許性に関する国際予備報告(第Ⅱ章)
国際予備審査報告に付される表題です(規則70.15)。国際予備審査機関により作成され、出願人及び国際事務局に送付され、国際事務局により選択官庁に送付されます(条約第36条)。
は
パリ条約(工業所有権の保護に関するパリ条約)
特許権、商標権などの工業所有権の保護を目的として、1883年に作成された条約です。パリ条約は、内国民待遇の原則、優先権制度、各国工業所有権独立を三大原則としています。特許協力条約(PCT)はパリ条約第19条の「特別の取極」に該当し、特許協力条約はパリ条約の規定に抵触しない範囲で作成されています。パリ条約を締結している国(パリ条約同盟国)は、2008年10月現在、171か国です。
非公式コメント
国際調査機関の見解書に対して意見するために、出願人が国際事務局に対して提出することができる書面です。
補充国際調査
国際調査に加えて、出願人の請求により、国際調査を管轄した国際調査機関とは別の国際調査機関により行われる調査です。
詳しくはこちらをご覧ください。
や
優先権制度
国際出願における優先権の取り扱いは、自己指定の場合を除き、パリ条約の定めるところによります(条約第8条(1)(2)(a))。
そして、パリ条約では、いずれかのパリ条約同盟国(A国)において特許出願などをした者は、所定の期間中優先権を有し、この優先権の期間内に他のパリ条約同盟国(B国)に対して同一内容の出願を行った場合には、当該同盟国において新規性、進歩性の判断などについて、A国への出願時に出願したものとして優先的に取り扱うことが定められています。(パリ条約4条)
なお、自己指定についてはこちらをご覧ください。
<ページ内コンテンツ>
PCT支援室 PCT国際出願の手続 国際調査・国際予備審査 用語解説 PCT国際出願の料金