ブルネイ

 

(マレーシアの内側に位置を占める)

基本情報

面積 5,765平方キロメートル(三重県とほぼ同じ)
人口 44.1万人(2021年)
首都 バンダル・スリ・ブガワン
民族 マレー系67.4%,中華系9.6%,その他23.0%(2021年)
言語 公用語はマレー語。英語は広く通用する。
宗教 イスラム教(国教、82.1%),仏教(6.3%),キリスト教(6.7%),その他(4.9%)(2021年)
通貨 ブルネイ・ドル(1ブルネイ・ドル=約82.0円(2021年平均レート))

ブルネイは、TPPにおける2006年の発効時のメンバーである。主要産業は石油・天然ガスであり、最大の輸出国は日本である。近年は、エネルギー資源への依存から脱却すべく、経済の多様化を目指している。

 
 

 

 

知的財産権の概要

2000年頃から、ブルネイは知的財産権に関する各種法律を、国際基準に従った形で整備してきている。特に、特許法は、2011年の全面改正により、従前の他国の特許に基づく特許(いわゆる、確認特許)から、独自に権利を付与する特許制度に整備された。また、以下のように、知的財産権に関わる条約に次々に加入している。

1994年02月21日 世界知的所有権機関を設立する条約
1995年01月01日 世界貿易機関(WTO)-知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)
2006年08月30日 文学的および美術的著作物の保護に関するベルヌ条約
2012年02月17日 工業所有権の保護に関するパリ条約
2012年07月24日 特許協力条約
2012年07月24日 特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約
2013年12月24日 意匠の国際登録に関するハーグ協定
2017年01月06日 標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書

以上のように、ブルネイの知的財産権の保護状態は、近年大きく改善しつつあり、2013年には、スペシャル301条の監視国から除外された。

TPP交渉において、米国は知的財産権の保護強化を求めているため、この流れはさらに進む可能性がある。

出願件数 2020年 2021年 2022年 2023年
特許 全数 120 139 155  
(内 外国出願) 115 137 155  
(内日本から)   9 15  
(内 PCTルート) 112 131 149  
意匠 全数 116 42 89 130
(内 外国出願) 116 42 89 130
(内日本から) 2 3 1  
商標 全数 1755 1891 1710 1720
(内 外国出願) 1644 1792 1596 1576
(内日本から) 63 128 83 49
登録件数 2020年 2021年 2022年 2023年
特許 全数 27 31 60 45
(内 外国出願) 27 31 59 45
(内日本から)   6 1 3
(内 PCTルート)   31 59 32
意匠 全数 123   75 122
(内 外国出願) 123   75 122
(内日本から) 2 2 1  
商標 全数 2220 1728 1747 1637
(内 外国出願) 2123 1695 1681 1581
(内日本から) 70 107 134 75

 

 

 

特許制度の概要

出願・審査・登録/公告・審判等

※言語は、マレー語または英語
※PCTは30ヶ月以内に要移行(2ヶ月の翻訳猶予有り)
※グレースピリオド有り(12ヶ月)

※方式審査のみ。実体審査は行われない。

※権利期間は、出願から20年(延長制度有り)

※特許庁に対し、特許取消命令の申請可能

<特許庁情報>

2019年4月1日、ブルネイ知的財産庁は、下記の新住所に移転いたしました。

Brunei Intellectual Property Office (BruIPO)
KHub Building, Simpang 32-37
Anggerek Desa Technology Park
Jalan Berakas BB3719
Bandar Seri Begawan
Negara Brunei Darussalam
Tel: +673 238 0966 +673 238 0545

 
 

 

 

意匠制度の概要

出願・審査・登録/公告・審判等

※部分意匠制度・組物の意匠制度・秘密意匠制度有り
※グレースピリオド有り(12ヶ月または6ヶ月)

※方式審査のみ。実体審査は行われない。

※権利期間は、出願から5年。5年ずつ2回まで更新可能。

※裁判所に対し、意匠の無効を申し立てることができる。

・出願から登録まで約12~18週間。

出願時に必要となる書類

  • 願書
  • 出願する意匠の解説書(7組)
 
 

 

 

商標制度の概要

出願・審査・登録/公告・審判等 ※保護対象は、商品・サービスマーク・証明標章・団体商標
※商標の種類は、文字商標・図形商標・記号商標・立体商標・
 結合商標・色彩商標等

※実体審査有り
※審査官は、方式的要件が満たされていることが確認できた後に、同一又が類似する先行商標がないか、識別力を有しているかを審査する。

※登録前の異議申立制度有り。公告から3ヶ月以内に、異議申し立て可能
※権利期間は、出願から10年。10年ずつ更新可能。

※登録から5年以内に、特許庁または裁判所に対し、
 商標の無効を申し立てることができる。
※ブルネイにおいて5年間不使用の場合、取消の申請可能

・多区分制度の採用

・更新期間:期限満了の6か月前より。

出願・登録件数の推移

  2018年 2019年 2020年 2021年
出願件数 1,978 2,003 1,754 1,892
(内 外国から) 1,838 1,822 1,643 1,793
(内 日本から) 51 47 63 128
外国比率(%) 92.9 91 93.7 94.8
登録件数 2,100 2,654 2,220 1,728
(内 外国から) 2,023 2,517 2,123 1,695
(内 日本から) 77 76 70 107
外国比率(%) 96.3 94.8 95.6 98.1

<自国と他国の出願件数と他国比率の推移>
  出典:令和3年度 商標出願動向調査報告書(概要)

自国と他国の出願件数と他国比率の推移

 ※他国からの出願数が多く、全体の90%以上を占めている。

出願時に必要となる書類

  • 願書
  • 鮮明な標章の写し
  • 出願人の氏名、国籍及び登記簿上の住所
  • 指定商品
  • (標章が色彩からなる場合)色彩の説明
  • (標章が英語以外の言語である場合)その標章の正式な音訳及び翻訳
  • (優先権を主張する場合)優先権証明書の写し 優先権証明書が英語以外の言語で記されている場合にはその英訳

PPH情報

2017年8月28日、日本国特許庁とブルネイ知的財産庁との間でPPHプラスの枠組みが合意されました。

日本出願の特許査定に基づいて、ブルネイ出願についてPPHプラス申請を行い、PPHプラス審査結果を受領した後、特許発行願いをブルネイ知的財産庁に提出することにより、プルネイ出願について迅速な権利化を行うことができます。

 
 

 

 

参考文献

・外務省ホームページ

・日本貿易振興機構「ブルネイ下位法令調査」2015年6月

・Trademarks in Brunei Darussalam -General Information (NJQ & Associates)
http://njq-ip.com/country/brunei-darussalam/trademarks/

・Want to register your IP? – IP Hall
http://www.iphall.com/

・IP Factsheet: Brunei Darussalam -South-east Asia IPR SME HELPDESK」

 

 

 

弁理士 スペシャリスト  村橋 麻衣子


<関連ページ>
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