チリ

チリの基本情報

面積 756,950平方キロメートル
人口 1996万人(2022年)
首都 サンティアゴ・デ・チレ
民族 ヨーロッパ系の白人またはメスチーソ95%,その他5%
公用語 スペイン語
通貨 チリ・ペソ(CLP)

 

 

チリの知的財産権法の概要

加盟している産業財産権関連の条約等

  • パリ条約(Paris Convention)
  • 特許協力条約(PCT)
  • 世界貿易機関設立協定(WTO)
  • マドリッド協定議定書(*)

(*)2022年7月4日発効

 

特許制度

出願ルート

PCT、パリルートでの出願が可能。

出願言語

スペイン語

出願に必要な書類

  • 発明の要約
  • 発明の明細書
  • クレームを記載した紙面
  • 該当する場合は発明の図面

特許をすることができない発明

次に挙げる発明は特許をすることができない。

① 発見、科学理論、数学的方法
② 動物及び植物新品種及び育種
③ 経済・金融上及び単純な精神的或いは知的活動の決め事、ゲームの方法
④ 外科又は療養による人体もしくは動物の治療・診断方法
⑤ 既知である目的のために使用される物品、物又は要素についての新たな用途、形状、寸法、比率、材質等の変更による出願
⑥ 法律、公序、国家の安全、道徳もしくは善良なる慣習に反するか或いは正当な所有者でない者によって出願された発明。慣習に反するか或いは正当な所有者でない者によって出願された発明
⑦ コンピュータプログラム自体

出願公開

出願公開制度なし。ただし、出願は方式について予備審査が行なわれ、要件を満たしていれば、出願の要約が公報により公告(公開)される。

特許付与前の異議申立

公告後45日の期間内に、利害関係人は異議申立をすることができる。

審査

審査請求制度なし。

出願は、特許付与前の異議申立て期間満了後、実体審査が行なわれる。

審査対象の出願について外国ですでに特許を出願している場合には、外国特許庁で既に行った調査及び審査の結果を提出しなければならない。提出された対応外国出願についての情報を考慮に入れて先行技術調査を行い、審査対象について特許要件の判断が行なわれる。

出願前の12ヶ月以内に行われた公衆への開示が、出願人自身に開示されたものである場合、出願人の許可に基づき開示されたものである場合、または、出願人自身による開示に基づいて更に開示されたものである場合、発明の新規性を判断する際にその開示は考慮されない。

日本国特許庁(JPO)とチリ産業財産庁(INAPI)は、特許審査ハイウェイの試行プログラムを2017年8月1日より実施している。

 

補正

出願補正についてはオフィスアクションが出されるまで可能である。

出願人は、第一回の審査報告書が発行される前であれば、自発的に分割出願を行うことができる。第一回の審査報告書が発行された後は、審査官による発明の単一性不備の指摘に対してのみ、分割出願を行うことができる。

 

無効審判制度

無効審判制度はなし。ただし、登録日から5年以内に、裁判所に提訴することができる。

特許権の存続期間

出願日から20年である。

特許表示

特許に係る発明を実施している商品には、「Patente de Invención(発明特許)」または「P.I.」という記載、および、特許番号を付さなければならない。この要件を満たしていない場合、特許の有効性に影響は与えないが、特許侵害者を刑事訴追することができない。

 

実用新案制度

出願ルート

PCT、パリルートでの出願が可能。

出願言語

スペイン語

保護対象

機械・器具・機器に関する全部またはその一部或いは組み合わせに関する考案。

 

出願に必要な書類

・考案の要約
・考案の明細書
・クレームを記載した紙面
・考案の図面(図面の提出が必須である。)

出願から登録まで

審査の進め方は特許出願と同様である。

新規で産業上利用することができることを要件としているが、進歩性が含まれていることを必ずしも要求されない

不特許事由

①考案の定義に合致しないもの
②有用性を見いだせないもの
③何らかの種類の方法
④生物に関する発明
⑤法律、公序、国家の安全、道徳もしくは善良なる慣習に反する実用新案
⑥合法的な法的承継人又は譲受人でない者が出願した場合

実用新案権の存続期間

出願日から10年である。

 

意匠制度

出願ルート

パリルートでの出願が可能。 ※ハーグ協定のジュネーブ改正協定未加盟

出願言語

スペイン語

保護対象

チリにおいては、立体的な形状を指す工業意匠と平面的な形状を指す工業図案が区別されている。
意匠権の態様として工業意匠と図案を区別しているため出願時は両者を正確に分類する必要がある

工業意匠

彩色されているか否かを問わず三次元の形態及び工業上又は手工芸上の製品であって,それと同様の他の製品の型見本として使われるものを含み,その形態,幾何学的形状若しくは装飾又はこれらの結合によって類似品とは区別されるもので、それらの特徴によって視覚を通じて新規の特色が生じる特別の外観が与えられているもの
(産業財産法第62条第1段落)

工業図案

図形,線又は色彩のあらゆる配置,集合又は組合せであって,工業 製品の装飾目的で,かつ,それに新しい外観を与えるために,平面図又は線図上で展開されたもの
(産業財産法第62条第2段落)

 

出願に必要な書類

・所定の方式による願書
・導入部、図面の説明及び意匠の説明を含む明細書
・図面

出願公開

出願公開制度はない。ただし、出願は方式について予備審査が行なわれ、要件を満たしていれば公報により公告(公開)される。

異議申立制度

公告日から45日以内に、利害関係人は異議申立を行うことができる。

審査

審査請求制度なし。

優先審査制度、早期審査制度なし。

異議申立期間経過後、実体審査が行われる。

登録要件
・既知の意匠もしくは既知の意匠の特徴の組合せと著しく異なっている場合は、新規性ありとして登録される。
(新規性の判断にあたっては、他の知的財産権、すなわち商標、著作権、実用新案等の一部を構成する図案、意匠もしくは図形も先行技術とされる。)

・外観が完全に技術的又は機能的な理由のみで形成されており、創作的要素が加えられていない場合は、登録することができない。

 

無効審判制度

無効審判制度はなし。ただし、登録日から5年間に限り、裁判所に提訴することができる。

意匠権の存続期間

出願日から10年である。更新は認められない。

意匠法特有な制度

部分意匠制度、組物の意匠制度、関連意匠制度、秘密意匠制度は採用されていない。

 

商標制度

出願ルート

パリルートでの出願が可能。

2022年7月4日以降はチリを指定したマドプロ出願が可能

出願言語

スペイン語

商標の種類

文字商標、図形商標、記号商標、立体商標、結合商標、色彩商標、音響商標。

※防護標章制度はありません

※一出願多区分制度を採用

保護対象

商品、役務、地理的表示及び原産地名称。

商標分類

国際分類(ニース分類/第10版)を採用。 ※ニース協定には未加盟

出願に必要な書類

・申請書
・商標見本
・指定商品・指定役務とその区分

出願公開

出願は方式について予備審査が行われ、要件を満たしていれば公告請求および公告料の納付により公告される。

異議申立制度

公告日から30日以内に、異議申立を行うことができる。

審査

異議申立期間経過後、実体審査が行われる。

不登録事由

①国家若しくは国際機関又は国家の公的サービスの紋章、旗章、若しくはその他の徽章、名前又はシンボルからなる標章

②標章が目的とする対象物についての技術的及び科学的名前、世界保健機関が推奨する、ありふれた国際的な名前及び診療の特性を表示する名前からなる標章

③自然人の名前、筆名又は肖像からなる標章。歴史上の人物の場合にはその死後 少なくとも50年が経過している場合には登録され得るが、その者の名誉が登録により損なわれないことを条件とする。

④国家の承認なしにその国家が採用した管理又は保証を表示する公式の標識若しくは品質証明書を複製し又は模倣した標章。更に国内若しくは外国の展示会で賞を受けた、メダル、表彰状若しくは褒状を複製し又は模倣した標章で、それを受けた者以外の者が出願した場合の標章

⑤種類、性質、原産、国籍、出所、目的地、重量、価値若しくは標章が適用される当該製品、サービス又は施設の品質の表示として使用される表現、更に一定の製品、サービス又は施設を記述するために取引において一般に使用される表現、並びになんらの新規な特徴がないか又はそれが適用される製品、サービス若しくは施設を単に記述するに過ぎないものからなる標章

⑥該当する製品、サービス若しくは施設の原産、品質又は種類に関して欺瞞するおそれのある標章

⑦同一の製品、サービス又は商業上若しくは産業上の施設について外国で登録された有名かつ周知の商標と混同を生じるほど,同一であるか又は図形的若しくは音声的に類似する標章

⑧同じ類について前に登録されたか若しくは出願された他の商標と混同を生じるほど同一であるか又は図形的若しくは音声的に類似する標章

⑨製品及び包装の形状,色彩,装飾及び付属物からなる標章

⑩公序良俗に反する標章(公正な競争の原則又は取引倫理に反するものを含む)

無効審判制度

無効審判制度はなし。ただし、登録日から5年間に限り、裁判所に提訴することができる。悪意により取得された登録であるときは、期間の制限はない。

不使用取消制度の有無 (2021年7月改正/2022年1月施行)

2022年1月より前に出願/登録となった商標は、存続期間満了後5年以上商標が使用されていない場合においてはじめて不使用取消審判を請求可能。

2022年1月以降に出願/登録された商標は、設定登録の日から5年以上不使用であれば請求可能。

商標権の存続期間

登録日から10年である(10年毎に更新可能)。

 

品種登録制度

UPOV条約(植物の新品種の保護に関する国際条約)の加盟国であり、品種登録制度による新品種の保護が可能である。UPOV条約は、植物の新品種を各国が共通の基本的原則に従って保護することを目的として締結された条約であり、新品種の保護条件、最低限の保護期間、内国民の優遇などの基本原則が定められている。

 

チリ知的財産権法

チリ産業財産法
チリ産業財産規則

弁理士 スペシャリスト  髭 善彰


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